母が認知症と診断されました。最初は「ちょっと物忘れが増えたかな」という程度だったのですが、徐々に症状が進行していきました。同じことを何度も聞いてくるようになり、いまでは数秒前の会話の内容でさえ分からなくなってしまっています。
まだまだ自宅で介護できるとは思っていますが、この先もっと認知症が進行していった場合、どうすればよいのだろう?と調べていた時、「グループホーム」に入所する方法があると知ったのです。でも正直、最初は「グループホームって何?」という状態。特別養護老人ホームや有料老人ホームとどう違うのか、母に合っているのか、全く分かりませんでした。
同じように悩んでいる方のお役に立てればと思い、グループホームについて詳しく解説していきます。
グループホームとは?認知症の方のための「小さな家」
グループホーム(正式名称:認知症対応型共同生活介護)は、認知症の診断を受けた高齢者が、少人数で共同生活を送る施設です。
一般的な老人ホームとの大きな違いは、「家庭的な雰囲気」にあります。
グループホームの特徴
- 少人数制:1つのユニット(生活単位)は5〜9人まで
- 家事への参加:料理、洗濯、掃除などを職員と一緒に行う
- 落ち着いた環境:顔なじみのスタッフ・入居者と穏やかに過ごせる
- 認知症ケアの専門性:認知症ケアの研修を受けたスタッフが24時間常駐
私が見学したグループホームは、まるで普通の家のようでした。リビングには皆が集まって和やかにお茶を飲み、台所からは夕食の準備の良い匂いが。入居者の方々が職員さんと一緒に野菜を切っている姿を見て、「ここなら母も安心して暮らせそう」と感じたことを覚えています。
グループホームに向いている人
複数の施設を見学し、入居者の方々やご家族、ケアマネジャーさんなど専門家の話を聞いてきた中で、グループホームに向いているのはこんな方だと感じています。
1. 軽度〜中等度の認知症の方
グループホームは、ある程度自分で動ける方が対象です。
向いているケース:
- 日常生活は見守りがあればできる
- 歩行は自分でできる(杖や歩行器の使用はOK)
- トイレや食事は声かけがあればできる
- 簡単な家事なら職員と一緒にできる
母の場合、物忘れは進んでいましたが、身体は元気で、料理や掃除が好きなタイプ。見学時に職員さんから「お母様のような方には、きっと合うと思いますよ」と言っていただき、グループホームが有力な選択肢になりました。「今日は何を作ろうか」と職員さんと相談しながら夕食の準備をする。そんな日常が母に合っているのではと感じています。
2. 集団生活が苦ではない方
グループホームは共同生活の場です。個室はありますが、日中は他の入居者と一緒に過ごすことが多くなります。
こんな方におすすめ:
- 人と話すのが好き
- もともと社交的な性格
- 一人でいるより誰かと一緒にいる方が安心
母は昔から近所付き合いが好きで、よく友人とお茶を飲んでいました。そんな母にとって、グループホームでの共同生活は孤独を感じることなく、むしろ新しい「仲間」ができる場所になるのではと期待しています。
3. 家庭的な環境を求める方
大規模施設の「施設らしさ」に抵抗がある方にも向いています。
グループホームでは:
- 自分の好きな時間に起きて、好きな時間に寝られる
- 季節の野菜を使った家庭料理が食べられる
- 庭の花の水やりなど、日常的な役割を持てる
- 誕生日会や季節の行事を家族のようにお祝いする
「施設に入れるのは申し訳ない」という罪悪感を今も感じていますが、見学したグループホームで入居者の方が「ここは第二の家族みたい」と笑顔で話している姿を見て、少し救われた気持ちになりました。
4. 地域とのつながりを大切にしたい方
グループホームの多くは、地域の住宅街に溶け込むように建てられています。
- 地域の祭りに参加できる
- 近所の子どもたちが遊びに来てくれる
- 地域のボランティアと交流できる
見学したグループホームでは、月に一度、近くの保育園児が訪問してくれるそうです。子どもたちの元気な声に、入居者の皆さんも自然と笑顔になっている様です。こうした地域とのつながりが、認知症の進行を緩やかにする効果もあると言われています。
グループホームに向いていない人
一方で、グループホームが合わない方もいらっしゃいます。施設選びで失敗しないために、正直にお伝えします。
1. 重度の要介護状態の方
グループホームは、常時医療的ケアが必要な方には対応が難しい場合があります。
向いていないケース:
- 寝たきりで介護度が高い(要介護4〜5)
- 常時医療処置が必要(点滴、経管栄養など)
- 頻繁に病院への通院が必要
- 重度の身体疾患がある
グループホームでは24時間看護師が常駐していないため、上記のような場合は医療体制が整った特別養護老人ホームなどが良いと思います。
2. 一人の時間を大切にしたい方
共同生活が基本のため、プライバシーを重視する方には窮屈に感じられることも。
注意が必要なケース:
- もともと一人でいることが好き
- 他人と一緒に食事をするのが苦手
- 自分のペースを乱されたくない
「皆と一緒が嫌」という方もいらっしゃると思います。慣れる方もいれば、最後まで馴染めない方もいます。入居前の見学や体験入居で、ご本人の反応を確認することが大切です。
3. 行動面の症状が激しい方
認知症の行動・心理症状(BPSD)が強い場合、他の入居者との共同生活が難しいことがあります。
対応が難しいケース:
- 大声を出し続ける
- 暴力的な行動がある
- 徘徊が激しく、外へ出てしまう危険性が高い
- 他の入居者とのトラブルが頻発する
ただし、これは「絶対に入れない」というわけではありません。施設によっては、専門的なケアで症状が改善するケースもあります。まずは相談してみることをおすすめします。
4. 手厚い医療体制を求める方
グループホームは医療機関ではないため、医療面でのサポートには限界があります。
- 看護師は日中のみの配置が多い(夜間は介護職員のみ)
- 医師は提携医療機関からの訪問診療
- 急変時は救急搬送が必要
頻繁に医療的な対応が必要な方は、介護老人保健施設(老健)や療養型病院の方が安心かもしれません。
グループホームの費用|現実的な負担額は?
施設選びで最も気になるのが費用ですよね。私も最初は「高すぎて払えないのでは」と不安でした。
入居時にかかる費用
入居一時金(初期費用)
- 相場:0円〜数百万円
- 地域や施設によって大きく異なる
- 0円(敷金のみ)の施設も増えている
私が見学した施設の中には、敷金として家賃の2ヶ月分(約20万円)のみという所もありました。一方で一時金が数百万円という施設もあったので、予算に合わせて探すことが重要です。
毎月かかる費用
月額利用料の内訳:
- 家賃:5万円〜8万円程度
- 食費:3万円〜4万円程度
- 光熱水費:1万円〜2万円程度
- 管理費:2万円〜3万円程度
- 介護保険自己負担分:約2万5千円(要介護3の場合、1割負担)
合計:月額13万円〜20万円程度
例えば月額約15万円の場合、母の年金が月12万円なので、不足分の3万円を私が補填することになります。決して安くはありませんが、24時間の見守りと専門的なケアを受けられることを考えれば、検討の余地がある金額だと感じています。
利用できる補助制度
経済的な負担を軽減する制度もあります。
介護保険の負担限度額認定
- 所得が低い方は、食費・居住費の負担が軽減される
- 第1段階〜第3段階まであり、最大で月3万円程度の軽減も
医療費控除
- 確定申告で、グループホームの費用の一部が医療費控除の対象に
- ケースによっては、年間で数万円の税金還付が受けられることも
お住まいの市区町村によっては、独自の助成制度がある場合もあります。地域包括支援センターやケアマネジャーに相談してみてください。
グループホームの入居条件
費用面がクリアできても、入居条件を満たしていなければ入れません。
基本的な入居条件
- 認知症の診断を受けている
- 医師の診断書が必要
- アルツハイマー型、脳血管性、レビー小体型などが対象
- 要支援2以上の認定を受けている
- 介護保険の認定が必須
- まだ認定を受けていない場合は、まず申請を
- 原則として65歳以上
- 40歳以上64歳以下の場合は、特定疾病による認知症であれば入居可能
- 施設と同じ市区町村に住民票がある
- これが意外と盲点!
- 地域密着型サービスのため、住民票の所在地が重要
入居を断られる可能性があるケース
以下の場合、入居が難しいことがあります。
- 感染症がある(結核、疥癬など)
- 共同生活が困難なほどの問題行動がある
- 医療依存度が高すぎる
- 身元引受人がいない
もし入居することになれば、私が身元引受人になる予定です。兄弟がいる場合でも、誰か一人が責任を持つ形になります。
グループホームの選び方|後悔しないための5つのポイント
実際に複数のグループホームを見学した経験から、チェックすべきポイントをお伝えします。
1. 必ず見学に行く
パンフレットやホームページだけでは分かりません。
見学時のチェックポイント:
- 入居者の表情は明るいか
- 職員の言葉遣いは丁寧か
- 施設内の清潔さ、においは気にならないか
- 食事の内容は家庭的か
私は5つのグループホームを見学しましたが、それぞれ雰囲気が全く違いました。
2. 体験入居を活用する
多くの施設で、1泊2日〜数日間の体験入居が可能です。
母にもぜひ体験してもらいたいと考えています。実際に泊まってみることで、本人がどう感じるかを確認できるのは大きなメリットだと思います。
3. スタッフの質を確認
- 入居者への声のかけ方
- スタッフ同士のコミュニケーション
- 笑顔があるか
- 忙しそうすぎないか(人手不足の可能性)
4. 医療連携を確認
- 提携医療機関はどこか
- 訪問診療の頻度
- 緊急時の対応方法
- 看護師の配置時間
母も持病があるため、医療面のサポート体制は特に重視して確認しています。
5. 実際に入居している家族の声を聞く
可能であれば、既に入居している方のご家族と話す機会を作ってもらいましょう。リアルな情報が得られます。
まとめ 大切なのは「その人らしく」過ごせる場所
母の認知症が進行してきた今、グループホームへの入居は真剣に検討すべき選択肢だと感じています。複数の施設を見学し、たくさんの情報を集める中で、少しずつ前向きに考えられるようになってきました。
見学した施設で、入居者の方が穏やかな表情で過ごし、職員さんや他の入居者と楽しそうに会話している姿を見て、「母もこんな風に過ごせたら」と思うようになりました。認知症の進行は完全には止められませんが、落ち着いた環境で適切なケアを受けることで、進行を緩やかにできるかもしれません。
そして何より、私自身に心の余裕が生まれるのではという期待もあります。
グループホームが向いているかどうかは、その方の状態や性格、そしてご家族の状況によって異なります。
- 認知症があっても、ある程度自分で動ける
- 家庭的な雰囲気で穏やかに過ごしたい
- 少人数での共同生活が苦ではない
このような方には、グループホームは素晴らしい選択肢になると思います。
まずは地域包括支援センターやケアマネジャーに相談し、実際に見学に行ってみてください。パンフレットやネットの情報だけでは分からない、その施設の「空気感」を感じることが何より大切です。
認知症の親の施設選びは、簡単な決断ではありません。でも、適切な場所を見つけられれば、ご本人もご家族も、穏やかな日々を取り戻せるはずです。
あなたとご家族にとって、最善の選択ができることを心から願っています。



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